NEKO_SuperNyanko

個人ゲーム開発ブログ

「教本」が「才能に恵まれた努力家が、愚図な凡人をボコる」本だった話

kindle unlimitedは定期的に月99円~0円のキャンペーンをやる。気が向いたときは、その激安の期間だけ加入して退会を繰り返しているのだが、今回は、なかなか凄い本に出会った。


ある分野での技術というか鍛錬方法について指南している教本であるが、作者(や、その信者)が突撃してきたら面倒なので詳しくは書かないのだが、溺れる人に「なぜ泳げないのか?私は練習なんて必要なかったぞ。理屈で考えるな」と言いながら浮き輪を投げるフリをして棒でつつく脳筋な内容で苦笑してしまった。


序盤から辛口で「基礎とか関係ない」とか「技術はいらん」とか書いてあり、その分野を多少は齧っている身なので「なんか変だな?」と違和感を覚えつつ読み進めると衝撃の告白 ~本人曰く、学生時代にプロデビューしたが学業優先で引退し、普通の社会人でITエンジニア系でご飯を食べつつ副業でこなし、ついに回帰した~ という経歴紹介が唐突にサプライズされる。


なるほど…天才が凡人に頑張れば誰でもできるって言う本ねって苦笑してしまった。

 

 

書いてある内容のすべてが間違いではない。例えば、下記の点は万人に適応できる正解と思う。

  1. ゴールが明確ではないのに漠然と前進してはいけない
  2. 課題と目標を混ぜない。達成可能な次の段階を目標とすべきで、次に何が達成可能か不明なまま夢を目標とするな。
  3. 他人は指導者ではないので批評は程々に受け入れろ。
  4. 常識のない仕事を持ってくる奴は相手にする必要はない。
  5. ビジネスでやるなら契約内容を守れ。感情的になるな。

上記は私が長いポエム付きの武勇伝交じりの煽り文章満載の長文を5つの要点にまとめた「翻訳」であり、実際にこの要点が簡潔には書かれていない。

言わなくていいことを9割ぐらい書いて、その中に、ちょろっと書いているポイントが上記内容となる。

 

この本を手にする人は、私の翻訳結果を即座に理解したいのであり、無双している人の武勇伝が聞きたいのではないと思うけど、敗者をボコるのが趣味なのかもしれない。

 

あるいは純粋な気持ちで教えてるつもりなのだろうけど、本書は凄いヘイト集めそうな恐ろしい本だな、と思った。

 

 

筆者の善意がヘイトを集める?

こういう教本は、どういう考え方をすると豪語しているような印象を与えるか、勉強になる。実績PRと道案内を混ぜたら爆弾になるとかとても学びの多い内容であった。

 

この筆者は、どうも「万人に適応できる要素」と「自身の才能に依存している要素」を全て「一般論」と妄信しているようだ。悲しいことにそれを指摘する身内がいないのだろう。意見を聞かないのか、意見がないからオッケーと判断しているかは知らないけど普通は「これは煽りになるから、やめたほうがいいよ」を誰も言ってくれないのは、中々厳しい環境だ。

 

エリート街道を突き進んで順風満帆だった公人が、組織がミスをやらかし、記者会見で「なんで現場が失敗するのか私も理解できんのですわ、こっちも徹夜で面倒見てるけどホント迷惑」的な失言し失職する時なんかと驚くほど似ている。正論は言葉の暴力になりえるのでわざわざ振りかざす必要がない事は多いのである。

 

本書の場合、「素人の指摘を聞かないことをポリシーとしている」的なエッセイも書いてたので始末が悪い。なぜアドバイスに怒る人が出現するか疑問に思ってもそこは言わなきゃいいのに。

 

 

 泣いている人に、お前は本当に赤い血が本当に流れてるのか?と疑われるような冷淡な人間には率先してなる必要は無いはず

ちょっと前に古くからの友人(社会的ポジションでは上位10%の層に入るようなエリート)が、なぜ一般人はこうも愚鈍なのか理解できないと豪語する自慢に苦笑しながら付き合ったのだが、似たものを感じた。

一応、友人なので「君の成功(正攻法)に異論はないけど、分かってても状況的にできない人や、騙されて知らない人を嘲笑していたら、いつか夜道に刺される羽目になるから慎んだ方がいいよ。敵を自ら作るメリットはない」とアドバイスしたことがある。

 

ずっと連勝しちゃうと、負けてる人やヘタクソが、どうしても不思議に思う気持ちは分かるが、同時に失敗し続けて、惨めな気持ちの人が「持たざる者」として無敵な人として八つ当たりする時の恐ろしさも知ってるから、傲慢は毒だと思うし、ヘイトを集めることはデメリットのほうが多いと私は思う。

 

わざわざ、ヘラヘラしろとか、媚びを売れとは思わないが、格差が広がる社会では不用心さは身の危険を増やす。

 

私は豪語できるほどの成功も実績もないけど、今さらながら言動には気を付けようと思った。