NEKO_SuperNyanko

個人ゲーム開発ブログ

新しいプリンタを買った(EPSON PX-S505)

Brotherのインクジェットプリンタが壊れてしまった。

neko-xs.hatenablog.com

DIY清掃は失敗に終わった。

イエローだけ回復せず、回復を試みているうちにカートリッジを使い切って弾切れになった。流石にもう数千円出せば治るかもしれないが直らないのは無駄なので諦めた。

 

今どき、プリンタ?という人も結構いると思う。

私は古い人間なので思考を整理する時や大きな開発をしているとき、画面で見る情報と紙で見る情報が、脳ではどうも別系統の処理をしているらしく、画面で全ての情報を見ると処理しきれなくなる(考えきれなくなる)

 

何故だろう?と思うが、根拠のない予想だが、幼少期(MSXで初めてプログラムを書いたのは10歳)にはインターネットもパソコンもない世界で本と手書きだけで生活していたので脳の基底部分は思考を外部出力してもいい媒体は「紙」と定着しているのだと思う。

 

画面で見る情報も外部記憶と認識しているつもりなのだが、無意識化では「外部記憶ではあるが長期参照しないもの」と関連付けをしているようで、例えば本で300ページある内容はほぼ「何ページ目にあの情報がある」という脳内インデックス(目次)が割とすぐに構築できるのに、kindleやプログラムのソースコードは検索頼りだ。

 

人間の記憶力は2PBはあるらしいのでハード的にはいけるはずなのだが、瞬時に思い出すことができるのは紙である。

 

仕方がないので、大規模で膨大なボリュームの思考を並列的に進めないといけない局面では全て紙に出力し、並べていく。目で見るものは画面と紙、同じ文字データであるはずなのだが、「こういう表紙の書類の何枚目にXXの仕様を記述した」という参照履歴の記憶は紙が断然早い。

 

ゆえに、プリンタがどうしても必要になる。

というわけで、壊れたプリンタの代わりに新しいプリンタを手配した。

 

ここでプリンタなんて普段買わない人向けにプリンタのちょっとした蘊蓄。

 

簡単にインクジェットを区分すると下記のような特性がある。

・染料インクは乾くのが遅い、にじむ。インクは安価。

・顔料インクは乾くのが早く、にじみにくい。インクは高価。

 

家庭用インクジェットの交換カートリッジもタイプ別の特性がある。

※1~3のどれも嫌!って人は、レーザープリンターを買ったらいい。印刷スピードも総合的な1枚あたりのコストも安い。ハード本体が5~10万超えるが総合的には諸問題が解決する。

1.完全一体型(複数インク、インクノズルが1つのユニット):

 インク代がめちゃくちゃ高いがプリンタ本体が1万未満。

 ただし、デメリットばかりではない。たまにしか使わない人の場合、ノズルが詰まってもカートリッジさえ買い替えたら物理的に修理完了する。プリンタ本体(4千円ぐらい)よりカートリッジ本体(5千円ぐらい)の方が高い。※純正やDIYしないなら。DIYすれば詰め替えできるので実は一番安い。自己責任で...

 

2.インク色ごとに分離したカートリッジ型(インクノズルは一体型)

 1よりはインク代が安いが、インクノズル代が都度発生で高い。ただし1同様にインク周りは故障しにくい。カートリッジ交換だけで解決する。少し古いプリンタでは主流だった。

 1年に300枚未満しか印刷しないなら、コンビニ印刷の手間時間も考慮すると、ストイックに印刷のみモデルなら1万前後なので、このクラスの「印刷のみの機種」が一番総合的にコストが安い。※スキャナ機能をつけると一気に採算が合わなくなる。

 

3.カートリッジはインクのみ。あるいはインクタンクがついているタイプ。

 インクコストだけでみたら再安価。インクが1本数百円~1000円ちょいで印刷枚数が数千枚などえげつないコスパを発揮する。

 ただし、このモデルはハードで利益回収するため、本体が4万以上からが相場。かつ、しっかりチェックしないと「インクは詰め替え放題だが、ノズルは消耗品なのに交換不可能」とかのトラップが多い。初期費用が高い上にトラップも多いので2(色分離型カートリッジ型)よりも安価になった!と宣言できるまでものすごい量の印刷と時間をかけないといけない・・・

 そして、印刷品質よりインク代安いだけにガン振りしていて、発色が悪い(顔料インクが徹底的に非対応とか)とか、10年以上前のハード?というぐらい構造が古くて騒音がすさまじかったり、ノズルクリーニングでのインク消費が多いなど、総合的にみると「元を取るには相当なヘビーユーザー」になる必要がある。

 総括すると、インク代にストレスを感じる人(実際にはもっと大局的に計算すると、カートリッジ式の方が総合的に考えれば安価であっても「インク代」だけに執着して納得できない狂信的な人)向け。

 何というか、燃費だけが売りで乗り心地が軽自動車にすら劣ると言われるハイブリッド車と似た感じ…

 

インクは顔料インクが発色やにじみが少なく、染料インクはコストが安いが乾きにくい。両方対応してくれればいいが、インクで儲けたいメーカー事情か、このへんもメーカー各社で戦略がある。

 

ブラザー:

 シンプル。

 黒のみ顔料インク、シアン・マゼンタ・イエローは染料インクを使っている。ブラザーのインクジェットプリンタはビジネス文書の黒は発色がよく・にじまない。カラーはオマケかつ安価に出力する実用性が高い仕様だ。

 

キヤノンエプソン

 複雑。(互換性のない組み合わせで機種ごとにバラバラ)

 黒を顔料インク・染料インク、両方を備えていたり、グレーや中間色(淡い青など)の染料インクを備えることで、フルカラー印刷も綺麗にしつつ、黒も綺麗にしたり、全色をは染料インクにしてコスパ全振り(ボトル詰め替えタイプ)あるいは、顔料インクのカートリッジ(顔料インクかつインクノズルヘッダ一体型)型にしている。

 

顔料インクのカートリッジ型でノズルヘッダ一体型で複数色一体型は、染料インクでインクのみ詰め替えできるタイプと比較すると10倍以上、コストが跳ね上がる。

 

インクのみ交換できるタイプはカタログスペックがモノクロが1円未満にまで行く場合もある。これは単純に用紙印刷でインクだけ交換する場合で計算するからだ。

確かにインクだけで計算するなら、インク1mlで何枚印刷できるかだけのインクの容量だけで用紙換算するので凄い安価な計算になる。(染料インク=習字の墨汁を印刷コストに換算すればとんでもない量の黒を書けるのだから、当たり前だ)

 

そして、年賀状用などの本体が5千円未満で売ってる激安プリンタはカートリッジに複数色インク+ノズルがセットになっているため、1枚あたり2~30円などのコストになる。下手したらコンビニのカラー印刷より高い。が、そもそも「ちょっとだけ印刷」ならコンビニ行く手間がかかる田舎にいるとか、高齢者で外出難しいならベストアンサーだ。なんせ本体が3500円、インク2500円で買えちゃうものもあるのだ。100枚も印刷しないけど印刷したい・・・なら十分である。(コンビニプリントと同じ程度が我慢できるかできないか、気分の問題)

 

ここで「いや、100枚以上は印刷するし、インク代が気になる」という人は「じゃあ、1枚あたりのコストが安いプリンタで…」となるのだがインク代だけ追及するのも罠がある。

 

まず、「インク代が安いだけ」を売りにしているプリンタは「ノズルヘッダ」や「廃液受け容器」が交換不可能パーツになっていたり、印刷品質が1万前後のプリンタより酷いものがある。なぜななら、インク代を安価にするだけを追求した結果、黒も染料インク=ベタベタでにじみやすく乾きが遅い、とか普通にあるからだ。

印刷したらしばらくは乾かさないといけない、みたいな変な手間が発生したり、にじむので少し遠くから見る必要があったり、そもそも色の再現性が90年代クラスのひどく雑な仕上がりがったりする。そこまでして安くする必要あるのだろうか…

 

インク代も実際には安価にならなない。

なぜか?ノズルヘッダは、ちょっと使わないだけで詰まるのだ。ノズルだけでなく、カートリッジからインクノズルまでを接続するチューブ部分も詰まりやすい。

それを避けるべく、プリンタは起動するたびに廃液受けにインクを吐き出す(ヘッダクリーニング)。これだけでインクを大量に消費していく。

それでも詰まる時はあっさり詰まる。

 

おまけに廃液受けにインクが一杯になったら、使用不可になる。買い替えるからメーカー保証なし&手が汚れるの覚悟でオーバーホールと、裏技(公式マニュアルには記載のない手順)でプリンタをメンテナンスモードにしカウントリセットも必要になる。

 

要するに…

インクだけ交換できるタイプのプリンタは、インクカートリッジ一体型よりコストパフォーマンスが良いように見えて、ほんの少しハード寿命は長いが、インクをバカスカ消費するから実質のインク代は若干高く、ハード的に壊れやすい部分が多々ある構造なのだ。その上、ハードで利益改修のために極限まで構造がスカスカになっている。

 

で、最近はそうした「インク代だけがコストではない」という問題を丹念に追及する熱心なマニアのおかげで、EPSONなどはこっそりと玄人向け(実利を求め、おまけに電卓を叩きまくるうるさい人)に総合的に合理性を追求したプリンタもこっそり出している。

 

例えば、私が購入したEPSON PX-S505も、そうした部類だ。

この手の実利重視な機種は「調べまくるユーザー」が前提のためCMもない。なんせ広告を信じない相手だから無駄と分かってるのだ。

そして、ひっそり売ってる。うたい文句も少なく、淡々と数値だけ載ってる。

PX-S505に至ってはイマドキ、両面印刷が手動で、複合機機能(スキャン・コピー)がない。そして、一般的にはブーイングの多い「ノズルとインクカートリッジ」が一体型の上に、なんと全色が顔料インクである。ただし、4色は分離したカートリッジだ。

 

これはプリンタを、「数か月スパンでいきなりめっちゃ使う」が「普段は使わない」ユーザには恐ろしく合理的な設計である。

 

まず、ノズルがカートリッジと一体型なので、久しぶりに使うとノズルがつまってた=インク買い替えで解決する(インクが高いといっても1000円しない)。

しかも、色ごとにカートリッジが分離しているので、最悪、黒のみで解決する。ご丁寧にも、黒だけインク切れなら他の色で黒を出力するモードもある。

 

そして、カートリッジは公式には顔料インクのみだが、非公式には染料インクが出回っている※自己責任でやろうと思えば驚異的なコストダウンが可能なのだ。

 

そしてハード的に2000年代のプリンタ並みにシンプルなので物理的なメンテナンス性が驚異的に高い。何と液晶画面すらついていない。モーターと通信機構だけだ。

それでもスマホから詳細は細かく設定できるから困らない。

 

家庭用プリンタの裏を知っていれば知っているほど、「良く出してくれたなあ」とメーカーの良心的な仕様に関心するプリンタである。最もカジュアルユーザーには魅力0と思うが。。。

 

本気で「たまにビジネスで大量印刷する」という限られたニーズ以外では「中途半端にインク代が高く、機能が限定的」ではある。仕事で使う私には100点満点だけども。

 

売れない機種でも確実な需要(というかオタク的なうるさい人向け、仕様の裏を知っている人向け)に答えた製品をこっそりとだけと出すあたり、「カラリオ」ブランドでプリンタの社会的ブームを起こしたEPSONとしての老舗の意地を感じる。

 

EPSONはあまりに売れ過ぎたプリンタメーカゆえにその後、ボロボロに追撃されたメーカーだ。ペーパレスが叫ばれる今の時代、年賀状も消滅しつつあるし、もうプリンタ需要がV字回復することはないのだろう。

 

表層的なユーザーはタンクにインク補充型を妄信的に買うだろうが、あれは、スペックしか見ない人向けハードにしか見えない。

 

ハードウェアとは数値以外の総合的な評価で電卓叩かないといかんよなあとブラザーが壊れた時に思った。(ブラザー、カタログ上はすごくいいんだけど、使えば使うほど不満が出る)

 

PX-S505は総合的な仕様が気に入ったので、なるべく純正インクを買って長く愛用しようと思う。

顔料インクで高い高いといってもモノクロ5円未満、フルカラーL版でも50円しない。

コンビニより安い+早い+メンテナンス性が高い、なら私は十分である。

 

※本気でモノクロをバンバン印刷するなら、PX-S505の姉妹機、PX-S155がおすすめだ。レーザープリンターのような廃トナーやドラム交換も不要で、1枚3円以下。安価なモノクロレーザープリンターよりも割り切った仕様で運用が楽だ。